ロッソ・デル・コンテ(Rosso del Conte)2004年について



コンテ

去る10月18日(2007年)に東京で開かれた秋の試飲会で参加者に向けて下記の案内文を書いた。

 今日は試飲会に足を運んでいただきありがとうございます。
ご案内しますレガレアーリ・ロッソ・デル・コンテ(Regaleali Rosso del Conte)2004年は、外観的には以前のヴィンテージと何ら変わらないのですが、実は内容的には著しく異なっています。このワインに馴染んできた方々には目を疑うような価格です。生産者は全く別のワインを生産したと自信たっぷりに語っています。2日前に抜栓したRosso del Conte 2004年を飲みながらこの文章を書いていますが、たしかに開栓した日より翌日の方がおいしく感じました。そして、2日目の今日も十分に満足できる状態と断言できます。今日の会場で試飲が可能なので、このワインの感覚的な記述は略させていただき、テクニカルな情報を記しておきます。
 Rosso del Conteの原料ぶどうは、ネーロ・ダーヴォラとその他の赤ぶどうとなっていますが、樹齢は平均で47年とかなり古い。密植度は4,000本で植栽当初からこうだったとは考えにくいので、徐々に植付け本数を増やしていったものと思われます。ヘクタール当たりのぶどう収穫量は4,000kgなので、歩留りを7割とすると2,800kgとなり、3,733本相当となります。公表されている作付面積は6.7hlですから、総生産本数は25,013本と推測されます。アリエール、およびトロンセの新樽(80%)、使用済み樽(20%)で18ヶ月間熟成されています。壜での静置は約8ヶ月。2004年は生産量を半分以下にしたらしいので、畑でのぶどう選別がシビアになされたということでしょう。樹齢の古いものだけを使用したとも考えられます。また、その他の赤ぶどうは、カベルネが主になっていると試飲の際に判断しました。いずれにせよ、このあたりの事情は、いわば企業秘密になるのか、いくら質問しても生産者側から満足のいく解答は届いていません。
 以下、僕なりにこのワインを評価します。開栓直後はMassetoと混同しそう。ロバート・パーカーが如何なる基準でポイントをつけているのか、まったく知りませんが、間違いなく彼が好きなスタイルのワインです。100点満点評価を当てれば、95~100点に位置します。あるいは、限りなく満点に近いと太鼓判を押すことができます。度外れなことを書くので読む人は閉口されるかもしれませんが、このワインの欠点は、地球以外の星でも出来そうなモノであること。それでも、ならして言えば「世界に通じる」ワインです。

 これを読んだ人たちから「このワインは買うべきなのか、それとも無視していいものなのか」との質問を受けた。たぶん読んだ人は、地球以外の星でもできそうなワインであることが欠点という意味不明なくだりに当惑したのだろう。2008年度版VINI D’ITALIAでもトレビッキエーリに輝いているから、品質に口をはさむ余地はない。それでも僕が伝えたかったのは、いいワイン、美味しいワインだけれども、シチリア、あるいは南国を感じさせるものが薄まってしまったということだった。このワインは、グローバリゼーションの波に乗ったというか呑み込まれた結果であり、資金さえつぎ込めばどこでもできそうなワインになってしまった。優良な品質で美味しければそれでいいのではないかとも思う。でも、シチリアというテロワールはどうなってしまうのだろう。くどいようだがもう一度念を押す。美味しいけれどシチリアが遠くに去ってしまったRosso del Conte。一期一会とまでは言わないが、ほぼそれに近いワインと思う。