エレモ通りの家

 1992-1993年の1年間を過ごした家。武生在住の画家、前 壽則さんに描いていただいた。写真からだったので、前さんは苦労したみたいだ。中央は僕が住んだ家、左は大家さんの館、そして右側にジューリオの家。フランチェスコは僕と同じ建物に住んでいた。畑にはオリーブ、ぶどうが植えられていた。
 フランチェスコは、自分が育てた畑の収穫物を家の前に置いていった。みんな美味しく食べさせてもらったが、バッチェッリだけは馴染めなかった。春のソラマメで、トスカーナでは生で食する。季節の訪れを告げるもので、ほんのわずかな期間しか食べない。フランチェスコに申し訳ないので塩ゆでにして食べた。
 フランチェスコが造る赤ワインは元祖キアンティで、サンジョヴェーゼ、トレッビアーノ、コロリーノ、サン・コロンバンとごちゃ混ぜの「百姓ワイン」。92年の秋は雨降りで、ぶどうの糖度が低く、ぶどう糖液を使ってアルコールを確保した。このキアンティは美味しくはない。昔はこういうワインが当たり前だったのだろう。
 この絵は、イル・ポッジョーネのブルネッロの裏ラベルに使われている。最優良年に限って貼ってもらってきたが、この絵を見ると僕の職業人生の最優良ヴィンテージは1992-1993年だったような気がする。