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Ceisa

チェイザ(Ceisa)2001年
樽熟7年のネッビオーロから想像すること

Ceisa

 このワインはバローロではないが、実はバローロ古酒の風格を醸し出している。原料ぶどうとなったネッビオーロは、ターナロ川の北のロエーロ地域で収穫されている。したがって「チェイザ」にはバローロの原産地呼称を冠することはできない。
 生産者はどんな意図でこのワインを造ったのだろうか。このことが知りたくて、2009年11月初旬、ピエモンテにルーカ・アブラーテ(Luca Abrate)を訪ねた。その日は季節にしては寒い日で、ワイナリーでの試飲は寒さに震えながらだった。早速、自分の疑問をぶつけたところ、「そんなに深く考え抜いた訳ではない」と素っ気ない答えが返ってきた。また「自分の土地から収穫されるネッビオーロの性質を見極めたい」とも言った。「チェイザ」は1999年、2001年など、歴史的優良年にしか造っていない。バローロは最低2年間の木樽熟成が規定で定められているが、「チェイザ」は5000リットルの大樽で約7年間の熟成工程を経ている。たとえ大きな樽でも7年も空気に触れさせておけば、ワインは熟成=酸化が進み過ぎているのではないかと危惧するが、不思議なものでそこまでの印象ではなかった。帰国してから蒲田の遺物堂から2001年ヴィンテージのバローロを持ち出して、「チェイザ」と較べて飲んでみた。思っていた通りで「チェイザ」のほうが熟成は進んでいた。体験的には12〜15年経過したバローロの記憶と重なった。
 ほぼ空気の流れが遮断された瓶と空気が出入りする木樽とでは熟成の度合いに大きな差が生まれて当たり前なので、これには納得する。「チェイザ」の健康年齢は、まだ古酒の入り口に立ったばかり。
  サービスの現場で歳を重ねたバローロを知ってもらうのは、実際には難しい。自然(年月)に依らないでワインを熟成させることは現時点ではできない。もしそれが人為的にできるのなら、人はワインに対する興味を失ってしまうだろう(少なくとも僕がその最初の一人と思う)。樽で7年間熟成させてタンニンを和らげたネッビオーロは、色、香りとも12〜15年の時間を経過したバローロの雰囲気を獲得している。「チェイザ」は、古酒となったバローロがどんなものなのかをイメージさせてくれる。ルーカがこのワインを通じて伝えたかったメッセージは、「ネッビオーロのポテンシャル」であったと考える。彼はバローロやラ・モルラ(La Morra)地域のバローロよりもセルラルンガ(Serralunga)地域の頑固一徹バローロが好きだという。こんなことを考えながら樽熟7年のネッビオーロのこの先を思った。