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Cabutto

Cabutto

カブット

 カブットは、バローロの種類を増やそうとしてピエモンテを回っていたときに、セレツィオーネから扱いを持ちかけられた。したがって、自分で探し当てたワインという訳ではないが、当時日本には輸入されてなかったので取り扱いを開始した。生産者に直接会って、納得してから買うのが自分の原則なので、ワイナリーまで出かけて行った。カブットに向かう前に、以前からバローロを買い付けているヴァイラに先に寄ったところ、思ってもみなかった事情を知ることになった。僕は、後々の誤解を避けるために、すでに取り引き関係にあるワイナリーの名前を相手に伝えている。「ここが終わったらカブットに行く」と僕が言った途端、ヴァイラは険しい視線を向けた。彼らが友好的な関係にないことはすぐに読めたので、セレツィオーネと付き合いを継続する限り、輸入は義務という趣旨を伝えて、その場を切り抜けた。決して取り扱いが義務だった訳ではなかったが、そうでも言っておかないと立ち上がって次に進めない雰囲気だった。
 両社とも今も取引関係にある。彼らのバローロは、体験上の勝手な仕分けではクラシック系になるが、カブットの方によりその傾向を感じる。カブットは90年ヴィンテージから取り置きをしているが、「あることを忘れたフリをして」待ってあげるのが、これらのワインに対する敬意。瓶詰後5〜7年の経過でクラシックバローロは渋味が丸くなる。フォンダトーレ(Fondatore)には、カブットの創業者をイメージしたラベルが付いている。この人は昔、量り売りのワインを詰めた樽を荷台に載せて、トリノの町を行商して歩いたという。バローロ醸造史は長いが、瓶詰したバローロが流通し始めたのは、それほど昔からではないようだ。取っ付きが悪く、タンニックな押し出しのクラシックバローロが、世界に受容されていった事情に興味を覚える。

1990〜98年ヴィンテージを輸出商社より輸入。1999年以降は生産者より輸入。