草創期▼
開拓期▼
Anselma

Anselma

アンセルマ

 アンセルマは、かれこれ20年近く知っている。バローロ地区を回る時の宿泊先だった。アルベルゴ・リストランテ・イタリア(Albergo Ristorante Italia)はホテルで、どことなく古風な名前だ。最近はリニューアルしてきれいになった。それでも『ニューシネマ・パラダイス』のロケ地になってもいいような雰囲気がある。
 バローロに来るとここに泊る。街道沿いの宿屋といえなくもないが、宿泊客はバローロ巡りの観光客。レストランは外からの利用もあり、夜は活気がある。白トリュフの季節になると連日予約で満杯になるという。昼間はワイナリーを回わって飲むので、さすがに夜になると、食事をしながらでもバローロは飲む気になれない。アンセルマがバローロの生産者であることは知ってはいたが、なかなか飲む機会がなかった。それでも、ここのバローロにはずっと関心があり、最近やっと輸入が実現した。ワイナリーは、お世辞にも清潔とはいえない。汚いというわけではなく、とにかく雑然としている。バリックは皆無で、バリックによる熟成は他人事らしい。ここのバローロは、ワイナリーの内部の様子とはあべこべで、酸化防止の添加物が極端に低い。あまりにも低いので日本で再分析してみたが、記載された数値に間違いはなかった。
 アンセルマのバローロは、古典的スタイルで時流に乗る気配はない。ワインを作るフランコ・アンセルマは、「バローロは時間がかかるワイン。待てば美味しくなる」ときっぱり言う。待てない消費者がバローロをダメにしていると言っているようなものだ。
 最近、古酒の領域に入ったバリック熟成のバローロを開けたが、このネッビオーロもランデイング寸前の印象はなかった。理屈からは、バリック熟成はワインの寿命を短くするはずだが、どうも体験的にはそうばかりとは断じられなくなってきた。体験すればするほどややこしくなってくる。公然と「反バリック」を唱えるバルトロ・マスカレッロ(Bartolo Mascarello)は、自分のバローロのラベルに「ノー・バリック、ノー・ベルルスコーニ(No. Barrique. No. Belrusconi)」とデザインする生産者で、これはもうワインが美味しい云々ではなく、信念の問題と考えたほうがいい。フランコもクラシックバローロの信奉者である。

1999年ヴィンテージより生産者より輸入。
アンセルマHPへ