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Podere 414

Podere 414

ポデーレ414

 414とは何とも珍しい名前のワイナリーである。マストロヤンニの醸造コンサルタントを務めるマウリツィオ・カステッリ(Maurizio Castelli)の息子、シモーネ(Simone)が経営している。414のあるスカンサーノ(Scansano)は、戦前はほとんど人が住んでいないようなところだった。イタリア共和国誕生後すぐに移民政策がとられて、開拓地として出発した。住宅も国の費用で建てられ、入植者に提供された。今も当時の家は残って使われている。414は、それらの建物の番号と考えると分かりやすい。むかしは買い物に行くにも遠くまで行かねばならなかった。家の庭にはパン焼き窯が見える。シモーネの所にもあるが、今は車で10分も走れば生協があるのでパンを焼くことはない。
 ここは海岸に近く、昼夜の温度差がある。驚いたのは、ぶどう畑にスプリンクラーがあることで、このことをシモーネに訊いたら「風があると洗濯物がよく乾くのと同じで、ぶどうの葉から水分がどんどん飛んでいくから、水分を補っている」という答えだった。常に風があるので、葉がたくさんある時期は水を細かいシャワーのようにして撒いている。一般的にぶどうに水を与えることは、植栽時の短い期間を除いては禁止されている。
 シモーネは、隣接するぶどう畑の面倒を見ている。ニューヨークでレストランを経営するイタリア系アメリカ人がその畑のオーナーで、自分の店で自家消費するワインをシモーネに造ってもらっている。初めて訪ねた時は倉庫も含めて、かなり古い感じだったが、最近は醸造設備も新しくなり、清潔感のあるワイナリーに生まれ変わった。「隣のおかげで」と言って笑っていた。
 スカンサーノ地区では、主にモレッリーノ(Morellino/サンジョヴェーゼをここではこう呼んでいる)が栽培されているが、ワイン生産地としてはまだ新興地域で、栽培ぶどうの種類も多い。といっても、新しいワインが市場に次々と出てきているという訳ではない。シモーネも今のところは「お隣さん」のぶどうでいろいろ試させてもらっていると言っていた。半世紀前は「一山百文」みたいな土地も、今や有望なワイン産地だ。
 シモーネの家族はギリシャ人の妻、マーラと4歳の子供。一緒に食事に出掛けた時、家の扉には鍵をかけなかった。驚いた。こんなところもまだある。しかし行ってみればそれも頷ける風景だ。

2003年より生産者から輸入。
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